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 ――――サーヴァントの顎の力ってすごいよね。

 食い千切られなかっただけ幸運、と思うしかない。
 というか思わないとやってられない。
 ……痛かった。
 物凄く痛かった。それはもう痛かった。
 そりゃあ体を両断されかけたときに比べればマシだ。けれど耳。されど耳。生暖かい感触や、その他もろもろに体も心も蕩けていたところにまさか痛恨の一撃。完全に不意をつかれた、全く予期していなかった暴力。抗う暇も準備もなにもない。

 はむ……はむ……ガリッ!

『うぎょぅあっおぉぉぉぉ―――――っ!!??』 

 俺は寝ぼけて耳をはむはむガリガリしてくれたセイバーや近くに立っていた藤ねえをふっとばし、耳から血をぴゅーぴゅー噴出させながら走り回った。

『ぶべらっ!?』

 走って、涙で滲んだ視界。
 柱に激突して、頭部を強打して気絶。
 意識が落ちる前、駆けつけてくるセイバーと藤ねえの姿、そしてキラキラと光る自分の血飛沫が見えたのだけを覚えている。

 そういうわけで、現在俺の耳に雪だるまみたいに包帯をぐるぐる巻き、自室まで運んで横にさせてくれ、額に氷嚢をあててくれたのはそのどちらかということになるのだが、それはこの仕事の雑さから考えるからに言うまでもなく――――

「――うっ、えっく……、シロゥ、ずびば、ぜん――」

 紅潮し、涙と鼻水やらで端整で可愛らしい顔をくしゃくしゃにした、最近やたらさびしんぼうで甘えんぼう。耳をはむはむガリガリしてくれた張本人。俺の布団にしがみつき、先ほどからずっとすみませんごめんなさいと――寝ぼけてやったことだから俺は全然気にしていないのに――謝りつづけている、

「セイバー、俺は大丈夫だから……その、そんな顔しないでくれ、正直どうしていいかよく判らない」

 ――――剣で相手を倒すことは得意、一流の剣士だけれど、衛生兵としては実は三流だったセイバーだったりする。



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