| ナイフでブッ刺されたりというふざけた体験を幾つも経たことにより、同年齢の男どもの中では比較的肝が据わっている方だと自負していた俺であるが、 「何やってんだお前!」 のほほーんと部室の扉を開けてみたら、ハルヒがいざ窓枠に足をかけ飛び降りようとしているなんて場面に出くわしたら流石に焦るってもんだ。 幾らハイスペックな運動神経を誇るハルヒとはいえ、この高さから落ちたら怪我ではすまない。 ここんとこ毎日笑顔笑顔で楽しそうにしていて、古泉だってアルバイトもなく暢気なもんだったというのに何時の間に鬱屈を溜め込んでいたのだろうかなどと考えつつも俺の足は勝手に駆け出していて、 「ハルヒっ!」 名を叫ぶ。がむしゃらに腕を伸ばし、ハルヒの体を室内に引っ張り込んでいた。 間一髪だったな、と息をつく。馬鹿なことすんじゃねえと怒鳴ってやろうと腹に気合を入れ……たのだが、先に口を開いたのはハルヒの方だった。 「ちょっと何すんのよ!」 「そりゃこっちの台詞だ。何してたんだ!」 俺の剣幕に気圧されたのか、ハルヒは少し声のトーンを落とし、 「何って」とっさに背後から抱きすくめていた後頭部が揺れ、「ハチが巣作ってたからつっついてたんだけど?」 なるほどなるほどハチの巣ね……って、待てやコラ。 「ハチ?」 「パソコンしてたら後ろでなーんかぶんぶん音してるもんだから、ちょっと窓開けてみたのよ。ほら、そこ」 「……確かにあるな」 ハルヒが指差した方向には本当に小さなハチの巣があった。つっついていたという言葉どおりに、明らかに「へへ……家荒らされて切れちまったぜ……」という具合に怒り心頭でぶんぶん言わしてる働き蜂っぽいのが警戒飛行を続けている。 ふむふむ。 つまり俺の勘違い早とちりだったというワケか。答えはほぼそれで決まりだろうが、一応確認しておくことにする。 「……飛び降りようとしてたんじゃないのか?」 「何であたしがんなことしなくちゃいけないのよ」 「いや、窓枠に足かけて身を乗り出してるヤツを見かけたらそう思うだろ。……なんにせよ、あぶねえからもうすんなよ」 落下の危険もそうだが激怒したハチさんに刺される確立も高い。寧ろアナフィラキーショックか何だかがある分そっちの方が危険度は上だろうな。 そうなればおちおち換気もできないときていて、こりゃ早急に対処する必要がある。朝比奈さんがもし刺されるような事があれば世界中のハチというハチを根絶やしにしてやらねばならないし、俺が刺されたらアンモニアが効きますよ! とか叫んだ古泉におしっこひっかけそうだ。 ハチ殲滅にあたり古泉に任せるか長門の力を借りるかと思案をめぐらせていると、 「……ちょっと、キョン」 「どうした?」 「どうしたもこうしたも! 何時まで触ってんのよ!」 そういや後ろから抱きすくめた格好のままだったハルヒが抗議の声を上げていた。 触ってるって……何を? と触覚に注意を傾けてみれば、右の手のひらにもにゅもにゅとくる素敵な手ごたえ。弾力がありつつも柔らかくて、手のひらに収まらないくらいの大きさ。 ――おっぱいですね。分かります。 「五秒以内に離しなさい……そしたら不可抗力だっただろうし、許してあげないこともないから」 絶対に許してくれそうもない声音でハルヒ閻魔が肩をいからせている。 殴る蹴るで済むだろうか。済まないだろうなぁ。半殺しにされて宙吊りにされた己の姿を夢想しながら、流石に善意でやった事に対してそれはあんまりだろと思う。 ならばどれだけ謝った所で減刑は望めないだろうし、どうせ地獄に落ちるんだというなら鬼どもと一戦交えてやるとするか。幸いなことに体勢的はこちらが有利で、相手は攻撃されるなどとは微塵も思っていないだろう。奇襲作戦決行にはうってつけなシチュエーションだ。 「いや、ハルヒよ」 ハルヒの背中に胸をくっつけ、前かがみになるように体をくの字に曲げていく。顎を首筋に寄せて耳元で呟いた。 「不可抗力じゃなくてだな、これはわざとなんだ」 「はぁ? あんたいったい何言って、んあっ!」 言い終わらせぬうちに指に力を込める。衣服の繊維がわずかに抵抗したが、想像よりもずっと柔らかいハルヒの胸はむにゅっと形を変えた。 「ほぅ……」 感嘆の息をつく。直に触ったらこれ以上なんだろうから、妄想ですら追いつかない。 包み込むようにしたり、撫で回すようにしたり、握りつぶすようにしたりと、さまざまな変化をつけてハルヒの胸を弄り回した。 「……すげぇ柔らかいな」 耳朶にかかった息にくすぐったそうに身をもじもじとさせながら、ハルヒは珍しくあたふたと慌てだし、 「ちょ、ちょっとキョン……? あんたおかしなもんでも食べたんじゃないの?」 「食ってねえよ。いや、今から食うのかな」 「なななな何いってんのよ! ねぇ、ちょっと、冗談はやめなさいったら。ほ、ほんと今なら許してあげるから」 これも珍しく気弱な声を出すが、俺はというとその隙に右手をブラウスの裾に忍び込ませ、 「許してってお願いするのはお前のほうだぞ」 「は、え? 何いって……んっ! ふあっ、あっ……」 さらにブラジャーの内側に手のひらをもぐりこませ、今度は直にハルヒのおっぱいを揉んだ。ただでさえ寄せて上げてとかで締め付けているところに強引に差し込んだものだからかなり窮屈だが、おかげで密着度が高まり、吸い付くような感触を余すことなく手のひらに伝えてくれた。 「っく、はぁ、やぁ、んんんっ」 衣服越しの何倍も弾力があって柔らかい。そして暖かい。ティッシュをつまむ程度の力でも指は埋没し、けれどすぐに押し返される。 それが楽しくて何度も何度も揉んではこねを繰り返した。 「ふっ、んぁ、や、いやぁ」 鼻にかかった甘い息を吐きながらも、ハルヒは嫌々というように頭を左右に振っている。嫌よ嫌よも好きのうちというのはすばらしい言葉だとは思うが、あんまり過信するのもよくない。そうまでするんならと俺は動きを止めた。 何時の間にか荒くなっていた息を落ち着かせてから、再び口を耳元へ。 「ほらな。お前が許してってお願いするんだ」 「ん、はっ、だ、誰が、そんなこと言うもんですか……」 それよりも、とハルヒは大きな息を一つ前置きにして、 「なんで、こんなこと……」 「何でって言われてもだな、こうしたかったからとしか」 「あたしとしたかったの……? それとも、誰でも良かった?」 「んー……」 前々からハルヒ相手に欲情していたかと聞かれれば、正直なところイエスともノーとも答えられないな。顔立ちは美人といっていいくらいに整ってはいるし、スタイルも良いと思う。 だがそれらを差っぴいてなお余りあるぶっ飛んだ性格が原因で、ついぞハルヒに男女でしか成立しない感情を抱いたことは無かった。 などと真面目に考えながらも、左手をそろそろと動かしていく。そこへ触れる前に三度耳元へ口を寄せ、精一杯低い声を絞り出した。 「ま、団の三人の中じゃお前が一番そそる体してるわな」 言うと同時に、背中をざわつかせるハルヒの股間へと左手を刺し伸ばした。スカートをめくり、下着越しに触れたそこはじんわりとした温かみと、少しばかりの湿り気。 女性のそこがどういう構造になっているか詳しく知るところではないが、偶然にも指先が最初にタッチしたのはとみに敏感な場所だったらしい。 「っふ、んあっ! ……ちょ、やっ、そこ、は……」 胸よりも一段と大きな反応に続いて、消え入りそうな声。 目の前にあるうなじは朱に染まり、支えていた体の膝がふるふると震えている。このままじゃ崩れ落ちちまうな、と親切心で腕に力を込めたというのに、ハルヒはより一層膝を震えさせた。 「あっ、んん……だ、だめ……」 のろのろと俺の左手を剥がそうとする。 何時もは無駄に怪力を発揮するハルヒアームはけれど引き剥がすどころか添えられる程度の力しかなくて、それを笑ってやるように右手に力を込めた。 「そんな……胸っ、あ……んんっ、ん、ふぁ……」 体をくねらせるハルヒ。甘い反応に満足しながら、俺は緩急と強弱をつけながら胸を弄ぶ。 人差し指と中指の腹で乳首を挟むと、そいつはもう芯を通されたようにぴんと立っていた。 「んんんっ! ……そんなっ……キョンの……手が、乳首、触って……ひぁっ」 軽くつまんだり、指先ではじいたり、指の腹でこねるを繰り返す。 「あっあっ、あぁっ、あん、んっ! んぅ……」 たちまちハルヒは腰と膝をくだけさせて、ふらふらと脱力した。俺が右手で支えていなければこのまま床に崩れ落ちるところだったぞ。 力が抜けた体ってのは重い。ぬん、と気合を入れながら、耳元に口を寄せて不満だと訴えてやる。 「おい、しっかり立てよ」 するとハルヒは「らっ、てぇ……」と呂律が回っていない情けない声で、そんなの無理だと時間をかけて呟いていく。 おいおい。だってもくそもだな、このままだとその内お前は床とキスする事になっちまうぞ。 「はぁ……んはぁ、はぁ……」 だが制服が汚れることまで危惧してやった俺の心配をよそに、ハルヒは返事を返すこともせず、大きく荒く湿った息を吐いただけだった。 「ったく」 ふん、と鼻から息を呼く。 ……やれやれ、だ。しょうがねえな。毎度毎度手のかかるやつなこった。 「そいや」 俺は下着の上からハルヒの尿道あたりをゆるくこすっていた左手を腹まで上げ、胸を弄っていた右手とも両方に力を込めた。腹筋にも力を入れる。だらんと宇宙から帰還した飛行士のようなハルヒの体の上体を反らしあげて、ちょうど俺の体が支えになって立てるようにしてやった。 その勢いのままハルヒの後頭部が俺の肩に乗りかかり、さてさて、こいつどんな顔してやがるんだと覗いてやってみる。 「……っ」 その瞬間……正直、ぞくっときたね。いやまいった。あのハルヒでもこういう顔をするのかという驚きと、外面の可愛さだけで言ったら校内一な美少女が気丈な性格を吹っ飛ばして快楽に負けたなんともいやらしい顔をしているという興奮。 だらしなく半開きになった桜色の唇に、焦点を探して彷徨う茫洋とした瞳に、耳や首の付け根付近にまで散った朱色の華。視線を下げれば胸の上に俺の右手が浮き出た制服があって、乱れた制服の襟から乳房を包み込んでいるその掌が見える。 「んっ」 鼻の奥と後頭部の首の境目あたりがじぃんと痺れる。知らず唾を飲み込んでいた。平常よりも随分と元気になっていた息子さんが更に体験したことが無いアップテンションに上り詰め、窮屈さを訴えるかのようにびりびり痛み疼く。 だったらこの雌に今すぐぶちこみめばいい――だなんて獣じみた本能が脳内を駆け巡ったが、俺は人間でありたいという理性で押さえ込んだ。それにどの道早いか遅いかの違いだしな。 腹を支えていた左手をそのままスカートを巻くりつつ下げていきながら、自分の唇をハルヒのそれにおもむろに寄せていく。近づく俺の顔をハルヒのぼうとした瞳が射抜くのが分かった。刹那だけ目が合う。 濡れ細った瞳の長い睫が震えていて……そこに、嬉しいだなんていう感情があったように見えたのは俺の気のせいだろうか? 知らん。つうかこんな事されて喜ぶ女なんぞ……まぁ居るには居るだろうが、俺とハルヒでは有り得ない。じゃあそもそも何で俺はこんなことをしているんだという疑問も、ハルヒが目を閉じやがったことで何処かへ飛んでいく。 受け入れるのか。健気だなぁ、ハルヒ。 「んっ」 半開きになっていたのにちょうど合わさるように俺も口を開けて、心なしか突き出された唇に触れる。 寧ろぶつかった。二度目のこいつとのキスの感触は一度目のあのときより輪郭が曖昧で、俺の興奮も相当なものらしい。むしゃぶりつくとまではいかないが完全にがっついていて、ロマンの欠片も無かった。 しかしハルヒの唇はかさつき皆無の潤い満タンで、ぷっくりとしてる癖にやたら柔らかいのだ。がっつくのだって唇の感触を味わうのそこそこに舌を入れたくなるのも仕方ない話だろう。 「……っ!」 肩の震えはどちらのものだっただろう。お互いだったかもしれない。んなことどうでもいい。 まず感じたのは熱いということだった。体温計で口に入れるタイプのものがあるように、口内ってのはその人の体温に保たれているものだ。ハルヒの今の体温は俺のより随分と高いらしい。 唾液の粘度も違う。俺のは割とさらさらしているのだが、こいつのときたらやたらねばっこい。溢れるように沸いてきては俺の舌に絡みつく。まるで獲物を糸で絡めて動きを封じるクモみたいだ。 糸だけじゃなくてさっさと本体出てこいよ、とか思いつつ首の角度を変え舌の角度を変え、唇の裏側や上顎や歯茎をなぞってみる。 「ふぁ……っ!」 今度の震えは完全にハルヒのもだった。体全体をつかってぴくりという擬音を的確に表現してくれる。唇同士の隙間と鼻から甘い息を吐くもんだからいちいちくすぐったい。 息がかかった頬をかきたい衝動を耐えながら、ハルヒの舌を探して口内を暴れまわる。双方の唾液で口周りがべたつきだしたところで、ようやく先端同士が触れ合った。 「っ!」 ――ハルヒは震えっぱなしだったから、三度目は俺だ。同じ舌という筋肉性器官とは思えない感触。興奮した味蕾は甘いだなんて誤情報を脳に送りやがる。そくらいの快感だった。ならばもっと経験したいと思うのが本能理性であり、それはハルヒも同じなようだった。 「はむ……ん、んちゅ、ちゅる、ん、んちゅ」 おそるおそるが次第に大胆に、大した時間も経たずに俺たちはお互いの舌を絡めあわせ擦り合わせ、口内のいたるところを探検する。 不思議なもんだ。胸や股間を触っていたときよりも俺は興奮していた。混ざり合った唾液を躊躇なく飲み込んで、それはハルヒも同じだが、酸欠で頭がくらつくまで深く長いキスを続けたものだから、 「……ハルヒ」 「……キョン」 ぷはぁ、と肺にがっつりと酸素を取り込み、それぐらいじゃ足りねえと喘ぐことになった。 毛穴まで見えるんじゃないかという至近距離。見つめあい、名を呼び合う。行為自体にさしたる意味は無かったが、心の何処かが満たされたのは確かだった。俺の吐いた息をハルヒが吸い、ハルヒが吐いた息を俺が吸う。 ハルヒのとろんと濡れた瞳には何かの魔法が付与されているんじゃないかというくらいに俺の思考はどんどんと一つの事柄で埋め尽くされていったが、此処でレッツゴーしても上手くいかないことくらいはまだ判別できる。 「ひゃうっ」 ちゃんとこいつの体を準備させてやらないといけない。 耳に唇を寄せるとハルヒはなんともかわいらしい悲鳴を上げて身をよじった。感じる人と感じない人が居るとは聞くが、耳朶のおうとつにそって舌を這わせていくとどうやらハルヒは後者だったらしく、 「やぁっ、だめっ、みみだめぇっ、へん、なんかみみへんなのっ」 普段よりオクターブが高い声で拒否の抗議をあげながら、俺から逃れようと首をつっぱる。そういう反応をされるともっとやりたくなるのが男の子だっていう事を知らないのかね。 右手でハルヒの暴れる頬と顎を包むようにして頭部を固定する。舌を耳穴に差し込んで鼓膜に直接「あんまり暴れるなよ」と呟いてやったら逆効果だったようで、ハルヒは意味の無い台詞を甲高い声で叫びながら背筋をぴんと伸ばして体ごと俺の攻めから逃れようとした。じゃじゃ馬みたいなやつだ。 さてどうしよう。ロデオにしがみつく根性は俺にはない。当たり前だ。つうか気持ち良いはずなのにどうしてこう暴れるのかね。何時如何なるときも手間がかかるったらありゃしない。気性の荒いサラブレッドをしつけるにはブリンカーやらシャドーロールやらといった馬具を装着するなど色々あるが、まずはハミを噛ませるところから始めるのが常道だろう。 耳から舌を引っ込める。顎を閉める機構が故障したんじゃないかと思わせるハルヒの口。だらんと開いて、涎と甘い声と湿った息をはくそこに……俺は中指を滑り込ませた。 「んっ……う、ぇっ?」 口内の異物に驚いたような反応をするハルヒ。耳をねぶってる間はぎゅっと閉じられていた瞼が開いて、俺の顔を射抜いた。表情から察するに困惑しているようだが、意には介してやらない。相変わらず熱くてねばっとした粘膜。 本当に噛んでくれるなよと内心ヒヤッとするものを感じながらも、俺はすぐに唾液まみれになってしまった指で舌をつっついたり唇の裏側をなぞった。舌で触れるのとはまた違った感触を楽しむ。 そうやりながらも手洗ったの何時だったか、と今更にどこかずれた事を考えていると、 「はむっ、んちゅ、ちゅ、ん、ちゅっ」 「うぉ」 いきなり指を咥えられて更に吸われてしまった。 こそばゆいような気持ち良いような妙な感覚に面食らってる俺を知ってか知らずか、ハルヒはまるでこの指が甘い飴か何かのように舌を絡みつかせてきて、ちゅうちゅうじゅるじゅると音を立てて吸い舐めねぶる。 「んちゅう、じゅるっ、はっ、ん、ちゅむ、んちゅ」 指をフェラチオされてるような感じだ。本来されるべきところをそうされた経験はないがね。しかし一体どういつつもりだこいつと顔を見てみると、母親に授乳されている乳児みたいな必死な様子があった。すぼまった頬が変に艶かしい。 うーむ。けったいな状況の最中にあって熱中ないし集中できる事が見つかって、それに縋ることで自分を保っているとかそういう感じだろうか。まぁこうされて嫌という事は欠片もないので深く考えるのは詮無いことだな。寧ろ嬉しい。 指を奥へ突っ込むと舌と顎裏に包まれ、手前に引くと唇が優しく抱いてくれる。舌使いは稚拙なんだろうが、噛むどころか歯さえ当たらぬようにしてくれているハルヒにふいに愛情にも似た気持ちが沸き起こり、恥ずかしながらちょっと出そうになってしまった。 「ぬっ」 腰が引ける。このままハルヒの引き締まった尻に押しつけていたら本当にこれだけで出かねない。いや今にもどばっとぶちまけたい気持ちの気分の興奮具合だが、流石に下着の中に放出するわけにはいかんだろう。 奥歯の根を噛みあわせて射精感をこらえながらふらふらと移動する。ハルヒは相変わらず指フェラに夢中で引きづられる形だ。ちらりと後ろを振り返りそれがそこにあるのを確認してから、俺は椅子にゆっくりと腰を下ろしていった。 二人分の重量に背もたれが悲鳴をあげたが、今はもう少し頑張ってくれ。俺だって人間椅子でハルヒを支えているんだ。左手でハルヒの足を開き、俺の両膝がその内側に入るようにする。後背位っぽい体勢である。うぬぬっ。これは腰と腰の密着度がはんぱじゃないぞ。我慢だ。まだ我慢。 「んむ」 気を紛らせるたびにハルヒの耳たぶを噛む。めいっぱいじゃないぞ勿論。動物の親子がスキンシップをとるような甘さだ。耳は駄目とは本人が言ったとおりにたちまちハルヒは仰け反り俺に背中を押し付けながら、指を挟んでいた唇を大きく開いて、 「んっ……! ちゅぱっ、あっ、やぁ、みみはだめなのぉ」 蜂蜜みたいな声でいやいやと逃れようとする。頬を押さえてる手と俺の顔を引き剥がそうと手がのろのろと伸びてくるが、どちらも表面をぺたぺたと撫でるだけでちっとも力が入ってない。 しかしそんなに駄目なのか。ちょっと乳揉んだだけであっさり大人しくなってしまった事とい、こういうのを感度が良いっていうだろうね。心にメモっとこう。ハルヒは敏感です、と。 そして寛大な俺だ。そんなに駄目ならもう耳は止してやろう。その変わりにと顔面全体を使って髪の毛を掻き分ける。舌先を耳から耳の裏側、首筋へと移動させていく。 「はぁ、ぁ、あ、ん」 ちゅうちゅうと白皙みたいな肌に吸い付きながら、しょっぱさと咽るような体臭にくらくらとする。耳ほどではないものの、いちいち嬌声をあげてもじもじと体をゆするハルヒの体は衣服越しだというの熱いったらありゃしない。直に触れてる唇なんて火傷しちまいそうだ。 跡が残ったらどうすっかなと考えながら、ようやくここで左手さんの出番だ。放置してて悪かったな。 スカートのホックの構造なんぞ知るよしもないので、乱雑に捲り上げる。何分経験がないものだからおおっかなびっくり触ったハルヒのそこは……今しがたの火傷しそうが冗談じゃなく本気なくらいに高温だった。 「ひぁっ!」 跳ねる。ハルヒの足が俺の脚に絡みつき、ぎゅっと締め付けた。かぶさってる手にも体全体にも力が入ってる。イテテ、爪がたってるっておい。血が出たらどうすんだ。 「力抜けって。ほうら、リラックスリラックス」 「んっ、ば、ばか……そんな……の、むり……んん、あっ」 くちゅん、という小さな水音。大した力も入れていないのに、緩やかに膨らんだ肉の狭間に指は何の抵抗もなく埋まっていく。濡れてる――それも凄く。いやはや、柄にも無く感激してしまった。本当に濡れるんだな、女のあそこって。下着をぬらす水分はやたら粘度があり、割れ目を前後に指の腹がこするたびにねちょりぬちょりと湿った音をあげた。 「ふぅ、うぅ、ん、うんっ、あっ、やぁぁ」 ハルヒも大きな音をあげる。体全体に結露みたいなこまかな汗をかき、もう気の毒なくらい顔や耳や首筋やらも真っ赤っかだ。顰められた柳眉にきつく閉じられた瞼。気持ち良いのに素直にその感覚に身を任せられないというか、まだ羞恥とか抵抗とか恐怖とかごちゃ混ぜの感情があるといった様子だ。 俺が思うに体の力を抜けば……素直に気持ち良くなってくれるはずだ。ハルヒの頬に添えていた右手を三度胸へと運ぶ。ハルヒの手もついでについて来たが、一直線に乳首をつまむとそれも外れた。 「やっ、うぁ、ん……は、んんっ! そ、そんな……いっしょ、にっ」 さっきは右乳ばかりだったから今度は腕を回して左の胸もまさぐる。前腕で右乳の乳首を押しつぶすようにこねがら、左乳の……ちっとも触ってないのにすっかり硬くなっていた乳首を摘み、少し強めにひっぱりあげると、ハルヒはひくひくと体を揺らして肩を上げ、すぐにどっと下げた。 「あ、んはぁ……」と同時にエクトうんちゃらが出そうなでっかい息。意図してそうしたんじゃないだろうが、深呼吸をしたのと同じ効果で立っていた爪から力が抜けた。ふぅ。これで流血沙汰は免れたな。――あ、いや。多分というか絶対ハルヒはアレだからその時になったら血は出るんだろうけど。 「指動かすたびにすげぇ音するぞ」 言いながら、わざと空気を含ませて大きな音がたつように指を動かした。 「ぐっちゅ」とか「ねちょ」とか「ぬちゅ」とか、素面で聞いたら汚らしい物を想像しちまう音だが、今の俺達にはそれはもうとてつもなくいやらしい音に聞こえていて、 「やらしいな、ハルヒは。こんなに濡れさせた上に音まで立てるなんてな」 「ふぅっ、くぅ、……ば、ばかっ。や、やらしいのはあんた、んぁっ、だけだし……はっ、そんな音、たてて、ないわよっ……」 そう言ってハルヒは首を捻って視線を合わすと気丈にも睨んでくる。 さすが涼宮ハルヒ。息も絶え絶えだろうというのに、しっかりと口をとんがらして不機嫌そうな表情を作っている。嫌というほど見慣れた顔だというのに、汗をかいていて肌の色が朱色で瞳がぼうとしているだけで……こんなにもぞわっとくるとは。 うん。正直な話、 「ちゅ」 キスしたいと思ってしまった、思わず。ていうか既にしてた。 目を閉じて唇同士が軽い挨拶を交わすだけの優しいキス。一瞬の逢瀬を終えて目を開けると、もっとディープなもんを先ほどしたというのにやたらめったら恥ずかしそうなハルヒのむにゅむにゅ顔があった。 「……な、な」 にするのよ、と言いたいんだろうな。気持ちを汲んでやってその質問に答えることにする。 「いやな、可愛かったから」 「は、へ?」 「だから、ハルヒが可愛かったから思わずちゅーしちまった」 「はぁ、う……うん、うん」 なんかしらんが非常に納得した様子である。 だから行き成りとかだったら仕方ないわねとかあたしって罪な女とか意味不明なことを呟く唇にもう一度優しく触れると、左手にやたらとろりとした液体が絡みつく感触が。 「キョン……これ、もっとして」 「あ、あぁ」 しかも急にハルヒがあまえんぼさんだ。 うん? 怪訝に思いつつも「ちゅ」「んちゅ」とハルヒが望むように啄ばむようなキスを繰り返す。 そして、やはり溢れてくるハルヒのやらしい体液。こんなキスでそんなに感じるものだろうか? あ、いや、待てよ。ある事をふと思い立って、俺は乳に覆いかぶせたままだった右手を制服から抜き去り、ハルヒの頭へと持っていった。 湿ってへにゃんとした髪の毛に指をくぐらせ、梳いたり撫でたりしてやりながら、 「本当にお前は可愛いぞ。ずっとこんな風にしたいって思ってた」 笑う顔も怒る顔も元気な顔も全部可愛いだの、体も綺麗だのえっちでたまらない……などと虫歯になりそうな馬鹿な台詞を並べ、顔の至るところにキスの雨を降らした。 ハルヒはくすぐったそうに何度も身をよじっていたが、「やだ、馬鹿のエロキョン。何いってんのよ」という言葉とは裏腹にまんざらどころか嬉しいったらないという有様で、すっかり脱力して俺にしなだれかかってきたどころか、猫のようにごろごろ体を擦り付けてくる。 シャミセンとじゃれるように喉をくすぐってやった。 「やっ、ふあぁ、……んもぅ」 はにかんだ笑顔で喉を鳴らしている。本気で猫みたいだな。 やはりである。こういうのも褒められて伸びるタイプの一種なんだろうか。いや、違うな。恐らくコイツは褒められるっていう行為自体に慣れていないんだろう。遣る事成す事突飛に過ぎて、評価されてしかるべき事を遣りとげても、普段の行いの所為で怒られたり呆れられたり無視されたりばかりだったはずだ。だから俺の口先の陳腐な口説き文句にめろめろになってしまっている。 それはそれで非常に可愛らしいが、 「何やってんだ……?」 「ふんふんふーん」とMr.BIGの「To Be With You」を上機嫌に口ずさみながら俺の股間を弄るってのは何の意図と意味があるんだろうか。 すっかりギンギン1000%の息子さんはズボン越しにがさごそされただけでひくひく跳ねやがる。若干腰を砕けさせつつ疑問を投げかける俺にハルヒは、チェシャ猫のようにくししと嫣然とした笑みを浮かべて、 「さっきからずっとお尻に当たってて、なんか苦しそうだったから……」 あたしが楽にしたげるわよ、と続けて舌をちょろりと出し唇を舐めた。 ……いやぁ、ハルヒよ。お前自分で何を言って何をしようとしてるのか分かってるのかね。所謂手コキをしてくれるつもりらしいが、本当に良いのか? こんだけやった俺が言うのもなんだし、拒む理由も無いんだけどさ。……うん。俺としては嫌なことは全くもって無いな。 というわけでやりやすいようにとケツをわずかに前方に滑らせた。その間もがさごそは続いていて、ハルヒの体越しにズボンのチャックが下ろされる音が響き、トランクスを押し上げて息子さんが一段階飛び出す。「でか……」という小さな呟きに喜んでいいものやらと悩んでいると、 「いててっ」 「あっ、ごめんね」 前開きの構造がよく分からないのだろう。力任せに息子さんをぎゅっと掴まれて無理やり露出させようとするもんだから痛いの何の。握り潰されてはたまらないので、ハルヒの股間で一休み一休みをしていた自分の左手で前開きから息子さんを引っ張り出す。 ぴょこん、とかそんな感じの擬音がよく似合いそうだった。押さえつける物が何もなくなって外気に触れた爽快感に一息つく。 「なんか……グロいわね。血管浮いてるし、色も」 「あんまり見るなよ。恥ずかしいだろ」 「はぁ……」 聞いちゃいねえ。ハルヒは熱い視線を滝のように注ぎながら、憧れの芸能人と握手をするファンのようなおっかなびっくりな手つきで「何か膨らんでる」「す、筋があるっ」「あたしの掌より長い……」「あ、熱っ」「びくびくしてる……」などといちいち驚きながら感想を述べ、ちょんちょんとあちこち触りまくりやがる。 「んっ、く……」 腹筋に力を込めて丹田に気合を集中させた。ちくしょう、どこでそんな微妙タッチを習得したんだ。ワザとやってるのかてめえ。 「え? ……ごめん。痛かったの?」 「違う。逆だ逆。じれったい」 「そ、そう……? えと、こうやって上下に擦れば良いのよね、うん」 合ってるけどそれもどこで覚えたんだか。最近の女子高生なら男のマスのかき方くらい知っていてもおかしくないか? てんで分からんし知る由もないブラックゾーンだが、ハルヒのしなやかな指と柔らかな掌に包み込まれて、しゅ、しゅ、とゆっくりこすられただけで色んな思考はアルファケンタウリまで吹っ飛んでいった。 「くっ、ぐぅ」 男が喘ぐっていうのはどうなんだろう。情けないような気もするし、仕方がないような気もする。ただ押し殺した呻きではあったが俺の感覚はハルヒには正確に伝わったようで、 「気持ち良い? キョン」 「あ、あぁ」 「ちゃんと出来てる?」 「あぁ……。上手だぞ」 「えへへっ、とーぜんっ」 嬉しそうな声。ゆっくりだった動きが次第にリズミカルに変化し、俺の反応からどこが敏感だとかを学習しして的確に攻めてくる。指の腹でカリの傘の部分を擦ったり、親指と一指し指で作ったわっかでにぎにぎと優しく締め付けてきたり、かと思えば手全体を使って少し痛いくらいの豪快さで根元から先までをこすり上げたり。 「ふぅ、ふ、ん、ふっ、えいっ」 楽しそうに一心不乱なハルヒ。ノリノリだ。さっきまで耳なめられてへにゃへにゃしていたとはとても思えない。 「う、ぐぅ」 正直やべえ。天才かこいつは。太ももや脹脛の裏側が引きつるような感覚。歯を食いしばり、背筋をのけぞらせて下腹にこれでもかと力を送り込む。俺の身体と思考全部を「耐える」という行為に総動員し、それが一人でもヘマをやらかせば今にも出そうな勢いだ。 「あっ……なんか出たきたわよ。あんたまさか漏らし」 「んなわけねえだろっ!」 怒鳴ってしまったのはそれだけ危ないからだ。途端肩を縮こませて手をぴたりと止めるハルヒの耳元に口を寄せて、すまん、と前置きをしてから、出来るだけ優しい声を出すように心がけ、 「それは……男が気持ち良いときに出るやつだ。小便じゃない」 再び頭を撫でてやる。頬にそっと唇で触れてから、次に頬と頬をぴたりと密着させて、横目で見詰め合う。 「ハルヒが上手だから出てきたんだ。だから気にしなくて良い。ちゃんと気持ちいいから」 「うん……。続けても良い?」 「あぁ。でも、次は二人とも気持ちよくなろうな」 ハルヒの瞳に疑問の色が浮かんだのは一瞬だった。三度股間に触れると、長い睫が震えてぎゅっと瞼が閉じられる。 今までになく体が跳ね上がって、ひときわ色っぽい声が耳朶をうった。思わず握りつぶされる一歩手間になってしまったがそれくらいは我慢しよう。死ぬほど痛いけどな。 なにせ、ハルヒの下着をずらして直接触るどころか指を膣口に潜り込ませたんだから。 「あぁぁ、ふぅ、くぅ、あぁぁっ」 つぷっという音がして、中指の頭が埋まる。きつい。熱い。濡れてる。柔らかい。下品なスラングでびらびらだなんて言うことがあるが、本当にハルヒの中はざわざわと肉壁が意思を持っているかのようにざわめき、俺の吸い付いてきていた。 「ふぅ、あぁぁ、あんっ、んんぅ、んっ、うぅ、ふぁっ」 若干痛みを訴えるハルヒの声音にこのまま指を暴れさせたい衝動をぐっとこらえ、入り口付近でほぐすように円を書いたり、壁を引っかいたり、浅い出し入れをしてみる。 ちゅぷ、ちゅぷ、ぬちゅ、とリズム良く。さっきハルヒがしてみせた事を思い出そう。反応を見てどうやれば良いかを学ぶのだ。 ――とは心がけているのだが、何をしても殆どハルヒの反応は同じだ。まいったな。もっと奥へ? 指を二本に? どうしたもんかと思案したところで、ようやく息子さんの痛みが治まってきたので、 「ハルヒ? 手が止まってるぞ」 「はぁ、あぁ、あぅ、ん、……うん、はぁ」 そっちの方も再開してもらう。膣内を直に弄られて力が入らないのか行為に集中できないのか、手つきは先ほどとは打って変わって単調で稚拙なものだったが、ハルヒから零れた液が俺の息子さんにもかかっていて滑り具合が凶悪になっちまった。 「うっ、うぅ……」 イカンな。ヤバイぞ。にゅるっ、にゅるっ、とゆっくりとハルヒの指が上下する度に射精感の野郎が確実に一歩一歩階段を上っているのが実感できる。 ローションプレイ愛好家が多いワケだぜ……なんて、日本の性嗜好について想いを馳せている場合じゃない。俺もファンになっちまいそうだが、このまま先にどばっと出してしまったら負けだ。何に負けるのか何で負けてはいけないのかサッパリだが、男として敗北は断固回避すべきなのである。 「ハル、ヒ……もっと可愛い声、聞かせてくれ……」 ええいままよ。ええい母さんよ。違う父さんよ。俺に力を貸してくれ。へたれそうになる口を叱咤して恋人にささやくような甘言を並べ立てながら、右手をハルヒの乳首に、舌を耳に這わせて今の俺に出来る限界に挑戦する。その限界を突破するのは左手の一指し指の役目だ。 痛かったら本当にすまんと心中で詫びながら、お兄さんに追随させて膣口から中へと。そのままぐっと奥へ突っ込ませ、指を曲げて壁の裏側をこぞったり、そのままの指の体勢で抜き差しをしてみたり、二本の指でバタ足をかかせてみたり、突っ張って穴を強引に広げてみたりと思いつく限りの演舞を躍らせる。 「やっ、やぁっ! だめ、だめっ、キョン……! あん、あっ、あぁぁっ、いやっ、そんな、ぐぅっ、うぅ、うっ、お願い、だからぁ……」 おかしくなっちゃうのぅ、と。 三箇所を同時に攻められて、ハルヒは堪らずといった様子でじたばたと暴れまわる。しかしそれにも力が入ってない。どういった電気信号を発すれば体のどこが動くのかを忘れてしまったかのようなちぐはぐさだ。 「うっ、ふぅっ、うぅっ、ん、んん、んうっ、うぅっ」 いやぁいや、と振られる頭を追いかけるように舌を伸ばして耳に侵入し、抱きしめるように腕に力をこめて乳首を摘み上げて、釣り針のバーブのように逃がすものかと指を捻り回し、もう出鱈目に入れては出しを繰り返した。 「んっ……ふぁぁあああぁぁっ」 「ふっ、うぅ、うっぐ……」 そうでもしないとだな、射精感さんがあと数歩で屋上へ到達するというところまで来ていて、もうこれは感服するしかない根性と律儀さで手コキを止めないハルヒは天才なもんだから、野生の直感とかシックスセンスとかそういった有り得ないもんで俺の限界を感じ取り、こちらも出鱈目に強引に強烈に快感を叩き込みやがっているのだ。負けられない戦いが此処にある。 「ふあぁあんっ、はぁあんっ、あぁぁっ、ぅあぁっ」 腹部が熱く焼けるかわりに背筋が冷えていく。 じゅぷじゅぷ、にゅるにゅる、ちゅぷ、ぷちゅ、ぬちゅ、という淫靡で湿った水音とハルヒの嬌声が部室内に響き、俺の呻きが重なってトリオを奏でた。 「くっ、うぅ、やっ、へんっ、へんなのくるぅっ……! ふぁっ、やあぁっ、……ぁ、うぁあぁっ!」」 膣内が収縮して指がきゅっと締め付けられたかと思うとハルヒが小刻みに震えだす。 谷口から借りたビデオプログラムでしかその光景を目撃したことはないが、この状況でそれはやはりそろそろイクっつう事なんだろう。俺も同じだ。びくびくと暴れるドラ息子を窘めるように、一際大きなスライドで擦り上げられる。 もういい加減我慢する必要もない。下っ腹に込めていた力を解放して、衝動の赴くがままに任せた。尿道を熱い滾りが駆け上がっていくのを感じる。その刹那、 「キョン」と訴えかけるような声と、縋るような何かを欲するかのような視線。瞳での会話のキャッチボールを一瞬で終えて、意味するところを汲み取った体は反射反応のように動き出していた。 「ハルヒ」と自分のモノとは思えない声。唾液が垂れるとかそんな些細なことは無視して、互いに酸素消費の増大に喘いで大きく開いていた口同士を、肉食動物が獲物に食らいつく勢いで重ね合わせる。 「はぁむっ、んちゅるっ、ちゅむっ、……んっ、んんんっ、んーっ、んんんぅぅっ!」 二人分の頂点へ達したことを示す甘い声と息が口内に反響して直接脳に叩き込まれる。気がつけば右腕は本当にハルヒの体をぎゅうっと万力のように抱きしめていて、ハルヒの右手が甲に重ねられていた。手首を捻って握る。握り合う。しっかりと。 「んふっ、んふぅ、ふぅ、ううぅ、んんんっ」 脊髄が溶けちまいそうな快感。びゅくる、びゅ、びゅっ、と跳ねながら飛び出してはハルヒの手を汚し、部室の床を穢していく。 ぷしゅう、と新品こコーラを思いっきり振った後に栓を開けたような音。さらさらとそれまで指に絡み付いてたモノは違いやたら水っぽい体液が間欠泉のように噴出しては、俺のモノとズボンに降りかかる。 気持ちが良い。熱い。温い。少し疲れた。息苦しい。汗かいた。そんな原始的な思考がどれくらい続いただろうか。 うっすらと目を開いたタイミングが同じったのか、鼻の頭で頭突き合いが出来るような距離で見つめ合う。ハルヒの瞳に映る俺の瞳はぼんやりと曇っていて、それはお互い様だった。今は何も考えられない。同意しあって、余韻に浸りながら「ちゅっ、ちゅっ」とただただキスを繰り返す。 やがてそれさえも窒息を回避するために終えて、ようやく大きな一息を入れる。 「ぷはぁ、あはぁ、はぁ、んはぁ、はっ、はぁ、あぁ、ふぅ、はぁ……」 肩を上下させて体全部を使って呼吸。酸素が体内に駆け巡っていくにつれて、全身に洒落になってない汗をかいている事に気がついた。しかし汗など優しいもんで、ベルトより下の大変さといったら……、 「随分汚してくれたもんだな……ったく」 このまま冷えたら風邪を引きそうな様相を呈している。俺がちゅぷっと指を引き抜いた所為で「あんっ」と妙な間を空けさせられたのを死ぬほど恥ずかしそうにしながらハルヒは、 「あ、あんたこそどれだけ出してんのよ。この床誰が掃除すると思ってんの? ……うわぁ、指がぬちゃぬちゃする。熱いし……うげ、変なにおい」 指についた俺の子種の成れの果てを物珍しそうに観察している。 う、うぅむ。中々恥ずかしいじゃないか。口調はいつものハルヒだが、表情が違う。そんな扇情的な顔で眼前に精子まみれの指を翳すとか何考えてやがるんだこいつ。 そういう事なら俺にだって考えがあるぞ。 「……なんか潮の香りがするな。……うへっ、しょっぱっ」 「ちょちょちょっとちょっとっ! あんた今何したのよ!」 そんなもん一つしかねえだろ。お前の中に入れてた左指についたもんの匂いをかいで、それでもって舐めてみたんだ。 正直なところ妙な匂いと味だ。これは女の子のそういう部分から出るものだと知って納得していなければ好きにはなれないだろう。控えめに言って甘いような気もせんこともないが、進んで「下さい」という気にはならないな。まぁしかし、 「これもお前の一部だと思えばどうってことないぞ」 「……っ!」 素直に感想を述べるとしこたま怒られそうだったので笑いながらそう言っておく。 ハルヒは眦と唇を痙攣させるという奇人技を披露しながら、どういう感情で対応すれば悩んでいる様子で、目を伏せ肩をいからせたかと思うとふにゃっと脱力し、もじもじと腰を揺すらせたかと思うとごろごろとすり付いてきて……いやいや、何がしたいんだ? 「うっさいうっさいうっさい!」 結局怒られた。 怒鳴りそのままでハルヒはうんしょっと俺の膝上から滑り降り、自分の両足で地面に立つ。ふらっと一度バランスを崩してから、くるりと振り向き、 「……何してんだ?」 えいっ、と今度は正対で俺の膝上に逆戻りした。胸板に両手を沿え、頭を首筋にぐりぐり押し付けてくる。シャンプーに爽やかな香りと汗の匂いがミスマッチして鼻腔をくすぐってなんとも言えん。 息子さんが再び活力を取り戻そうといているの感じながら途方にくれていると、ハルヒがぼそぼそとしたちっさい声で、 「ぎゅってして」 「何?」 「だから、ぎゅってしてよ」 抱きしめろと子供っぽい言い方でお願いしてきたので言われるがままにそうしてやる。ぐいっと抱き寄せてから腰の辺りをさすり、もう片方で後頭部をゆっくりと撫でてやると、ハルヒは「あはぁ」と俺の鎖骨あたりに湿った息を吐きかけ、胸板においていた手できゅっと制服を握り締めた。 ようやく冴えてきた頭が異音を察知する。異音つっても時計の音だが。かちかちにつられて見上げると放課後になってから二十分かそこらだった。それだけしか時間が経っていない事に軽い驚きを覚えたが、行為の間中扉がノックされる事が無かったのに今更納得である。 今日のところは所謂本番は無理だなこりゃ――と冷静に思案していると、 「すんごい悔しい」 「……何が?」 「あんなことされたのに嫌じゃなかった。あんたに可愛いって言われたら、ちょっと嬉しかった。腹が立つのとは違うの。……だから悔しいのよ」 「そりゃ難儀だな」 人事みたいに言うな馬鹿! と怒られたが一転してトーンが落ちて、ハルヒは「これはあたしとあんただけの秘密なんだから。絶対誰にも言ったら駄目なんだから」と怖い声で繰り返し、もうすぐ他のメンバーも来ることを悟ったのか、 「最後にっ! ……あたし以外の女に同じことしたら」 どうなるか分かってるわよね? と上目遣いの強烈な睨みで締めくくった。 やれやれとは心の中でだけ溜息を吐いて、返事をする代わりにおでこにそっと唇を触れさせる。途端ふにゃっとした顔になるハルヒに微笑ましいものを感じながらも、男って浮気しないと死ぬ生き物だという事を伝えるほど死に急いではいないので、 「後始末しないとな……」 現在一番の重要案件を口にすることで再確認し、自分の精液を雑巾で拭うというなんとも情けない行為に移る俺だった。 ……あぁ、しっかし、服どうしよう。今度があれば是非とも下だけでも脱ぐべきだと学習した俺の視線の先。閉じられた窓ガラスの向こうでは、ハチが「は、はずかしいですのう!」という風に控えめに羽音を響かせていた。 「ふっ」 「何笑ってんの?」 「いや、なんでもない。……それより、お前そんなびしょ濡れの下着だったら風邪ひいちまうぞ」 「あ、あんただってそんなとこにでっかい染み作ってからに。いい歳こいて漏らしたと思われるわよ」 かもなー、と適当に答えて窓を開ける。こんなにむわっとした生臭い匂いが充満していたら俺とハルヒが二人きりで何をしていたか一臭瞭然ときたもんだ。 ぶーんぶーん。 なぁハチよ。巣をつっついた事は謝るから今の出来事は一つ内緒で頼むぜ。 でないと――とっても怖いことになりそうだからな。 |